相談概要
| 相談企業のエリア | 関東 |
| 相談企業の業種 | IT業 |
| 相談企業の従業員規模 | 100名前後 |
| 相談のジャンル | 風評被害・誹謗中傷 |
| 争点 | 投稿の削除 元従業員の謝罪 再発防止の誓約書の提出 |
| 解決までの期間 | 約1ヶ月 |
相談内容
IT企業の経営者様から、「退職した元従業員がブログ上で、『会社はパワハラ体質で、現に日々パワハラが横行している』、『社長に皆盲目的に服従しており、まるで宗教か何かだ』といった内容の投稿を行っている」とのご相談がありました。
その内容は会社名を直接記載していないものの、業種、内部事情の記述等の文脈から、特定の会社であることが容易に推測できるものでした。
経営者としては、事実無根の情報がネット上に残ることで、今後の採用活動や取引先からの信頼に悪影響を与えることを懸念されていました。
依頼の時点では、「投稿の削除」、「元従業員の謝罪」、「再発防止の誓約書の提出」、「元従業員に対する損害賠償」を希望されていました。
解決までの流れ
投稿内容を検討し、投稿内容が虚偽であることの立証が可能であると考えられたことから、名誉毀損の法的構成が成立し得ることを検討しました。その上で、早期解決を図るために、裁判によらず円満な解決を図る方針を採用しました。
投稿者が元従業員であることは、投稿文から明らかであったため、発信者情報開示請求などの手続は行う必要がありませんでした。
依頼者の意向は、「削除と謝罪、誓約書による再発防止、損害賠償」でしたが、早急な投稿の削除、再発防止を図ることが最優先としたいとのことであったため、当職が代理人として投稿者に内容証明郵便を作成し、送付しました。
その中で、「本件投稿は当社の名誉を毀損するものであり、本来であれば損害賠償請求まで辞さないところであるものの、虚偽の投稿を◯日以内に削除し、謝罪および再発防止の誓約を行う場合には、損害賠償請求は行わない。ただし、当方からの提案に応じないのであれば法的措置も辞さない」と、譲歩案を合わせて提示しました。
これに対し、元従業員から迅速に連絡があり、当方の要求を全面的に受け入れ、すみやかに削除するとの回答を得ました。その後、投稿は速やかに削除され、正式な謝罪文と再発防止の誓約書が提出されました。
解決結果
元従業員による誹謗中傷投稿は削除され、謝罪および再発防止の誓約書が提出される形で、依頼者の希望どおり早期に解決しました。裁判に至ることなく、会社の信用を守りながら、トラブルを最小限に収めることができました。
担当した所感
本件のように、退職後の元従業員によるインターネット上の誹謗中傷は、近年の企業相談でも非常に増加しています。特にSNSやブログは匿名性が高く、事実と異なる情報でも容易に拡散されるため、企業のブランドや信用を大きく損なうリスクがあります。
今回、迅速に弁護士が介入し、内容証明郵便を送付することで、投稿者に「法的責任を問われる可能性」を理解してもらったことで、早期に謝罪・削除へと応じました。裁判に至らずに交渉で解決を図ることができた点が大きなポイントです。
本件のようなケースの根本的な再発防止の観点からは、従業員が退職する際のフォロー体制や社内教育の見直しも重要です。例えば、SNS利用に関するガイドラインや就業規則の整備を行い、在職中・退職後の情報発信に対する意識を高めることが、トラブルの未然防止につながります。
弁護士が関与することで、企業として冷静かつ法的に適正な対応が可能となり、「感情的な対立」や「不要な拡散リスク」を抑えながら、企業の信頼を守る解決を実現できた事例ということができます。
風評被害・誹謗中傷にお困りの方はさいたまシティ法律事務所までご相談ください
当事務所では、企業からの風評被害・誹謗中傷対応の相談をお受けしております。従業員や顧客からの不当な風評被害・誹謗中傷にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

Last Updated on 2025年10月8日 by roumu.saitamacity-law
![]() この記事の執筆者:代表弁護士 荒生祐樹 さいたまシティ法律事務所では、経営者の皆様の立場に身を置き、紛争の予防を第一の課題として、従業員の採用から退職までのリスク予防、雇用環境整備への助言等、近時の労働環境の変化を踏まえた上での労務顧問サービス(経営側)を提供しています。労働問題は、現在大きな転換点を迎えています。企業の実情に応じたリーガルサービスの提供に努め、皆様の企業の今後ますますの成長、発展に貢献していきたいと思います。 |





