会社役員を誹謗中傷する社員を退職勧奨によって退職させることに成功した事例

相談概要

相談企業のエリア北関東
相談企業の業種建設業
相談企業の従業員規模100名程度
相談のジャンル問題社員対応,懲戒処分
争点誹謗中傷への対応,退職勧奨

相談内容

A社の役員Xが,パワハラやセクハラを行っているとの内容の口コミが匿名掲示板で投稿されました。投稿者の手がかりはなく,一方でA社には事実確認の問い合わせが殺到し,既存の取引先もA社に対し疑念を抱くようになったため,すみやかに口コミを削除し,投稿者を突き止める必要がありました。

解決までの流れ

投稿から1週間程度で相談を受け,すぐに受任し,裁判所に投稿記事の削除及び発信者情報の開示を求め,口コミの投稿者はA社の現役従業員であるYであったことが判明しました。また,投稿の削除も認められ,すみやかに削除されました。Yに口コミを投稿したのか確認しましたが,曖昧な回答に終始し,はっきりと認めず,一方で,役員Xに対する個人的な恨みをほのめかしていました。役員Xは,会社の風評被害が甚大であることから従業員Yの早期解雇を主張しましたが,従業員Yは非を認めないため,場合によっては解雇無効を争われる可能性もありました。口コミの内容や取引先等への悪影響の程度からすれば,解雇したとしても有効性は維持できると考えられるケースでしたが,紛争が長引くことにメリットはなかったため,従業員Yに退職勧奨を実施し,退職条件を詳細に詰めたうえで,従業員Yを合意により退職させることになりました。

担当した所感

本件は,当初会社役員に対する誹謗中傷が問題となりましたが,投稿者が現役従業員だったことが判明したことにより,会社の労働問題に発展したケースです。匿名掲示板の口コミは,原則として裁判をしなければ投稿者の特定ははできません。特定できる期間も限られています。したがって,裁判を行って投稿者の特定まで行うか否かを,早急に決定する必要があります。

次に,投稿者が従業員であったことが判明した場合,どのような対応を行うか問題となります。このケースでは,役員Xひいては会社そのものの風評を害したということで,就業規則の懲戒事由に該当することは明らかでした。現実問題としても,会社にマイナスの口コミを行う従業員を雇い続けることはできないでしょう。

一方で,本件のようなケースで解雇が法的に有効と言えるかは別問題です。また,解雇は有効であったとしても,従業員Yが解雇を争うことにより,解決まで何年もかかり,時間や費用を浪費してしまうことも考えられます。本件では,解雇に固執せず,当該従業員の退職を最優先課題とした結果,退職勧奨によってすみやかに退職させること及び会社にとって有利な条件で退職させることに成功しました。

Last Updated on 2024年2月3日 by roumu.saitamacity-law

この記事の執筆者:代表弁護士 荒生祐樹

さいたまシティ法律事務所では、経営者の皆様の立場に身を置き、紛争の予防を第一の課題として、従業員の採用から退職までのリスク予防、雇用環境整備への助言等、近時の労働環境の変化を踏まえた上での労務顧問サービス(経営側)を提供しています。労働問題は、現在大きな転換点を迎えています。企業の実情に応じたリーガルサービスの提供に努め、皆様の企業の今後ますますの成長、発展に貢献していきたいと思います。

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