悪質なGoogle口コミの影響
目当ての店舗や事業所の場所を検索する際、地図アプリを用いることが日常となり、その中でもGoogleマップは圧倒的に利用者が多いコンテンツです。そして、Googleマップの事業者ページにはその事業者への口コミが紐づけられているので、口コミの検索をする、しないかかわらず、Googleマップで事業者を検索すれば、その事業者に向けられた口コミは自然と目にすることになります。
口コミの内容が低評価だったり、否定的な口コミが多く寄せられていると、新規顧客の獲得に大きな影響を及ぼすだけでなく、既存顧客の信頼を失う可能性もあります。特に、医療機関・士業・美容業・飲食業など、信頼性が重要な業種では(上記は例示であって、勿論これらの業者に限られるものではありません)、たった一つの悪評価が長期間にわたり集客に悪影響を与えるケースも少なくありません。
悪質なGoogle口コミを放置する危険性
前述のとおり、悪評価の多い口コミを放置すると、新規顧客の獲得が難しくなるばかりか、既存顧客の信頼まで毀損する可能性があります。更には、その事業者への求人の応募が減って人手不足が深刻化する、否定的な口コミに便乗して、更にマイナスの口コミがなされ、誹謗中傷が連鎖し、いわゆる「炎上」状態になることも考えられるため、悪質な口コミを放置することは極めて危険といえます。
悪質な口コミの実際の書き込み事例
悪質な口コミといっても様々な内容があり、内容が事実に反する口コミ(虚偽の口コミ)、人格攻撃に至っているなど表現としての限度を超える口コミなどがあります。虚偽の口コミの例としては、「あの会社は残業代を払わず、労働法を守らない」、「あの病院の〇〇医師の診療が原因で感染症を併発した」、「あの会社の社長は愛人を何人も抱えている」、などです。人格攻撃の口コミの例としては、「〇〇社長は最低最悪な人間で、人として終わっている」、「あの会社は人をゴミみたいに扱い、使い捨てる」といったものです。
Google口コミは削除できるか
投稿者に削除してもらう場合
投稿者が判明している場合は、まずは投稿者にコンタクトを取り、削除の依頼をすることをおすすめします。悪質かどうかにかかわらず、否定的な内容の口コミが投稿された場合、その投稿者は、事業者に対し、何らかの不満を抱いているから投稿しているわけです。投稿者が体験した出来事に関し、事業者側に落ち度がある場合もあるでしょうし、行き違いの場合もあるでしょう。また、事業者側に落ち度があるとは言えない場合でも、投稿者は何らかの感情を抱いたということもあります。したがって、まず直接投稿者と話をして、削除を検討してもらうことを申し入れることが選択肢となります。ただし、そもそも内容が虚偽であるとか、一意見としても到底容認できない誹謗中傷レベルに至っている場合は、以下のとおり、ウェブフォームからの削除や法的対応を検討することになります。
Google口コミの削除リクエストを送る
グーグルの口コミの削除方法は、以下のとおり、グーグルのヘルプ「クチコミの削除をリクエストする」にまとめられています。
「https://support.google.com/business/answer/4596773?hl=ja&co=GENIE.Platform=Desktop」
そして、削除申請を求めるウェブフォームは以下のとおりです。
「https://support.google.com/business/answer/4596773?hl=ja&co=GENIE.Platform=Desktop」
こちらから不適切な内容として報告すると、Googleが審査を行い、削除されることがあります。ただし、審査基準は厳しく、明確な違反がなければ削除されないことが多いです。
上記フォームからの請求で削除してもらえなかったときは、裁判所の「削除仮処分」という方法を選択して削除を求めることになります。こちらの方法は、口コミに法律上の権利侵害、具体的には、「名誉権侵害」、「侮辱(名誉感情侵害)」、「プライバシー侵害」などを理由として、削除請求することになります。裁判所で削除の仮処分決定が出れば、グーグルは削除に応じます。
ただし、裁判である以上、上記「法律上の権利侵害」が認められなければ削除に至りません。したがって、ある一定の事実を前提とした、「あの先生は対応が横柄だ」、「仕事のスピーディーさに欠ける」、「もう行くことはない」などといった口コミは、その口コミ単体だけでは何らかの権利侵害に該当すると判断することは難しいため、他の口コミの内容と相まって法的権利が侵害されている、といった主張を行うなどの工夫が必要になります。
Google口コミで削除されない場合の対処方法
ウェブフォームからの削除若しくは削除仮処分で削除されなかった、若しくは削除される見込みが難し
い、という場合、上記「4」で述べたとおり、投稿者がわかる場合は投稿者とコンタクトを取ることが考えられますが、投稿者がわからない場合は削除が難しいでしょう。その場合は、口コミに対して事業者は返信することができるので、事業者は、口コミに対して正確な情報を発信し、投稿者の誤解を解く返信を行うことが考えられます。投稿者が事業者の口コミを読み、誤解していたことなどを理由に削除に至ることも考えられます。
Google口コミの特定・発信者情報開示請求について
口コの投稿者を特定したいときは、発信者情報開示請求という方法を用います。オンラインからの申請はできないため、こちらは裁判所での「発信者情報開示請求」の手段が必須となります。なお、グーグルは外国会社であるため、以前は、グーグル相手に発信社情報開示請求の裁判を起こすには、裁判記録を英訳し、裁判記録をカリフォルニアにあるグーグル本社に郵送するなどが必要でした。
ただし、令和4年7月にグーグルが「外国会社」の登記を行ったので、上記手間は不要となり、通常の裁判と同様に申し立てることができます。
Google口コミ対応に関するご相談はさいたまシティ法律事務所にご相談ください
以上のとおり、悪質なGoogleマップが投稿された場合、当該口コミを放置しておくことは事業者にとって深刻な結果を招きかねず、早急な法的対応が必要となります。
さいたまシティ法律事務所では、Googleマップの口コミならず、企業に対する誹謗中傷の対応やその予防策に関し、個々のケースに応じてアドバイスをご提供することが可能です。これにより、トラブルのリスクを最小限にとどめることが可能です。
Googleマップの口コミや企業に対する誹謗中傷対策及びその予防策に関し、お悩みの企業様はさいたまシティ法律事務所までご相談ください。

Last Updated on 2025年12月8日 by roumu.saitamacity-law
![]() この記事の執筆者:代表弁護士 荒生祐樹 さいたまシティ法律事務所では、経営者の皆様の立場に身を置き、紛争の予防を第一の課題として、従業員の採用から退職までのリスク予防、雇用環境整備への助言等、近時の労働環境の変化を踏まえた上での労務顧問サービス(経営側)を提供しています。労働問題は、現在大きな転換点を迎えています。企業の実情に応じたリーガルサービスの提供に努め、皆様の企業の今後ますますの成長、発展に貢献していきたいと思います。 |





