メンタルヘルス・ハラスメントとは?対応方法や注意点について弁護士が解説!

メンタルヘルス・ハラスメントとは?対応方法や注意点について弁護士が解説!

企業におけるメンタルヘルス対応とは

 厚生労働省は,労働者の心の健康の保持増進のための指針において,メンタルヘルス不調を「精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺だけでなく、ストレスや悩み、不安等、労働者の心身の健康や生活の質に影響を与える可能性がある、精神的かつ行動上の問題を幅広く含むものをいう」と、定義しています。

 業務上の精神的ストレス等により従業員がメンタルヘルス不調を引き起こした場合、使用者側にその原因がある場合は,民事上の責任を負う可能性があります。その意味で,従業員のメンタルヘルス問題は、従業員個人の問題ではなく,企業にとっての重大な労務問題とであると言えます。

 特に,うつ病などの精神障害で休職を要する社員を,いつ、どのような業務に復職させるか、あるいは解雇(自然退職)とするか,といった判断は容易ではなく、これを誤ったために従業員から解雇無効の主張をされるなど,問題が深刻化するケースが相次いでいます。

 また、メンタルヘルス不調が長時間残業やセクハラ、パワハラなどの業務上の心理的負荷(ストレス)が原因となっている場合には、業務に起因して精神障害を発病したとして労災認定がなされる可能性もあります。精神障害の対象疾病を発病した社員が自殺を図ったような場合には、企業は甚大な賠償責任を負うばかりではなく、行政上、刑事上の制裁を受けることや、社会的にも厳しい非難が向けられる可能性があります。

 そこで、企業にとっては、トラブルを予防し、あるいはコンプライアンス確保の要請からも メンタルヘルス不調を訴える従業員への対応やメンタルヘルス不調を生じさせない労務管理により,現代の実情に応じた適切な対応を取ることが求められているといえます。

 

弁護士によるメンタルヘルス対応・弁護士に依頼するメリット

1 メンタルヘルス不調従業員への対応

⑴ メンタルヘルスの問題意識の高まりを受け,労働安全衛生法が改正され,平成27年12月から,通称「ストレスチェック制度」を設けることが義務化されました(ただし,常時雇用従業員50人未満の事業場は当分の間努力義務とされています)。頻度としては年1回実施し、労働基準監督署に報告する必要があります。問題が判明した場合、従業員が医師による面接希望を申し出た場合は、会社はこれを実施する必要があります。

 

⑵ 休職等の対応

 「休職」とは解雇猶予を意味します。したがって,休職期間が満了しても復職できない場合,休職期間満了退職・解雇となります。したがって,休職命令を出すにしても,どのような根拠・内容に基づいて休職命令を出すのかが重要となります。休職命令がないと,従業員の休業は「欠勤」ですが,体調不良を理由とする欠勤が続いて復職できない場合,直ちに退職・解雇といった措置を取る事ができないことがあります。

 そして,従業員のメンタルヘルス不調が発生した際,従業員個人の問題として私傷病休職とする場合であっても,本人もしくは家族に,休業を要するとの診断書を提出してもらうことになります。その上で,就業規則に基づく休職命令を出すことになりますが,前述のとおり休職命令はどのように行うべきか、復職の可否をどのように判断すべきか、どの部署にどのような形で復職させるか、再発の場合の扱いをどうするか,休職期間満了時にはどのように対応すべきか等,各段階において重要な判断を迫られることになります。なお,メンタルヘルス不調を原因として休職した従業員の対応に関しては,厚生労働省が「復職支援の手引」を出しています。

 また,メンタルヘルス不調の従業員に対して、業務を続けさせることがさらにメンタルヘルス悪化につながるような場面では、従業員からの申し出が無くても、すみやかに業務から離脱させて休養させるか、他の業務に配転させることも、会社の安全配慮義務となります(神戸地裁姫路地判平成7年7月31日)。こうした義務を怠って従業員のメンタルヘルス悪化を招いてしまった場合、会社の安全配慮義務違反として、損害賠償責任を負う可能性があります(民法415条)

 

⑶ 精神損害の労災

 従業員のメンタルヘルス不調が業務による心理的負荷により生じた場合,それは精神損害の労災の可能性があります。厚生労働省は,「精神損害の労災認定」を公表しており,どのような場合が労災認定される精神的損害か,詳細に解説しています。

 このように,メンタルヘルス不調には様々な要因が考えられるものであり,従業員ごとに個別的な対応が求められるため,判断を誤ると、ときに深刻な紛争に発展する場合があります。したがって,メンタルヘルス不調に陥った場合の対応全般を踏まえ,平時からの対応が求められます。

2 メンタルヘルス不調を生じさせない労務管理

 最も大事なことは、従業員がメンタルヘルス不調にならないように未然に防止することです。具体的には,従業員自らがストレス解消などのセルフケアを行うことができるように、会社が研修・指導を行うこと,また、従業員にストレスを与えないように職場環境の改善,長時間労働やハラスメントの防止に努め,未然に防ぐことに尽きます。

 前述の従業員のストレスチェックも有効です。ストレスチェックを行うことで、職場環境のどのようなところに改善の必要性があるかを会社として把握することができ、それとともに、従業員や会社全体にメンタルヘルスケアの重要性を意識させることにつながります。

3 弁護士に依頼するメリット

 当事務所では,従業員のメンタルヘルス対応について,企業の皆様への法的支援を行っております。休職命令、主治医との面談、情報収集、復職の判断など、メンタルヘルス不調社員への対応を万全に帰するための就業規則の整備等,各種支援を行っています。また、様々な過去の裁判例等に基づき、労働基準法、労働安全衛生法等の各種法規制に則った適切な労務管理を実現するための助言、規定整備、セミナー開催、制度運用支援等を行っています。

 事後対応から予防法務まで適切なアドバイス、対応を必要とされる企業様や、メンタルヘルス、労働問題にご不安を抱えている企業様については、さいたまシティ法律事務所までご相談ください。

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    Last Updated on 2024年2月27日 by roumu.saitamacity-law

    この記事の執筆者:代表弁護士 荒生祐樹

    さいたまシティ法律事務所では、経営者の皆様の立場に身を置き、紛争の予防を第一の課題として、従業員の採用から退職までのリスク予防、雇用環境整備への助言等、近時の労働環境の変化を踏まえた上での労務顧問サービス(経営側)を提供しています。労働問題は、現在大きな転換点を迎えています。企業の実情に応じたリーガルサービスの提供に努め、皆様の企業の今後ますますの成長、発展に貢献していきたいと思います。

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